約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
「いいだろう。
芹沢を殺る時、お前には岩倉を預ける。
望み通り、その剣でお前の親友を守り通せ」
冷たく突き放すように言ったその人の口元は、
何故か笑うように歪められていて……。
「まぁ、花桜ちゃんはオレが守ったる」
背後から、いつもの笑顔で私に話しかける
山崎さんの声が何故かやけに心に届いて。
その数日後……。
私は知ることになる。
士道に背いた罪により、
新見さんがこの世を去ったと言うことを……。
そしてそれは……次の命を奪う瞬間が
一刻、一刻と近づいていることを私に自覚させて突きつけてくる。
いつもと変わりのない日常。
そんな仮面をかぶりながら、
その瞬間は音もなく忍び寄ってくる。
庭の紅葉が……やけに色づいて、
紅々しく映った。
……大丈夫……。
私はちゃんと出来るから。
瑠花も舞も……そして、
心に生きる大切な人も私が守ってみせるから。
そんな祈りが、馬鹿げた幻想にすぎないと
気づかされるまでに、
もうそんなにも時は残されていなかった。