約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
「すいません。
沖田さん。
ちゃんと……瑠花は私が連れて行きますから……」
花桜に引きづられるように、
その場を離れさせられた私。
何が何だかわからないままに、
脳内だけは、鴨ちゃんの崩れゆく体と
噴き出す血だけが……何度も何度も、
繰り返し映し出される。
「ほらっ。
瑠花、しっかりして。
もう少しで、座れるから。
あっちには、舞も居る。
また三人で、一緒に居られるんだよ。
そして、帰るの。
私たちの世界へ」
私の縺れる足を花桜が庇うようにして支えて
ゆっくりと歩かせていく。
「このっ、裏切者がっ!!」
声と共に聞こえた足音。
「瑠花、ごめん。
下がって」
花桜の声と共に突き飛ばされる体。
その直後、ズボっと……
突き刺す音が聞こえた。
雨あしは、強くなって
体を次々と打ち付けていく。
「花桜?」
恐る恐る音がした方に視線を向けると
そこには、返り血を浴びた花桜が
手から力なく、刀を地面に落としたまま
呆然と立ち尽くしてた……。
その直後……
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
悲痛な声が周囲に響く。
それでも無意味な戦いは終わらない。
花桜の命を狙って迫ってくる刀を、
何処からともなく花桜の前に姿を見せたその人が、
手にした武器を放ってその息の根を奪う。
花桜の悲痛な声は今も止むことなく響き続け、
何かから逃げ出すように花桜はその場から走り去った。
花桜の遠ざかる足音を追いかけようと、
何とか体を起こすものの、
思い通りにならない体はどうすることも出来なくて……。
遠ざかる意識の中、
重力に引き寄せられるように崩れていく。
意識の落ちる間際、
誰かに抱かれた気がした……。