約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



「花桜は……?」


「山波君や岩倉君が狙われているのを視界の片隅に捉えて、
 総司と二人駆けつけたときには、
 山波君は岩倉君を守るために敵を突き刺した後でした。

 山波君の叫びは空間に轟き、その後、
 山波君は闇の中から走り去りました。

 山崎君に依頼して、私も共に山波君を追いかけましたが
 彼女は消えたんです。

 私たちの視界の先で。

 突然の鳴神の稲光と共に……。

 そして……、それ以来、今も見つかっていません。

 誰にでも、人を斬る初めてはあります。

 最初のうちは、抵抗があった肉を断ち切る感触も何時しか、
 心は凍りつき、慣れてしまうのですよ。

 一瞬の気の緩みは、自身の死に直結します。

 だからこそ、この世界に生きるならば山波君にも強く生きて欲しい。
 覚悟を持って、戦ってほしいと……そう思ったのですがね」


それだけ紡ぐと、山南さんはゆっくりと空を見上げた。


「山南さん。ここに居たんですか?

 芹沢さんの葬儀の打ち合わせをしたい。
 かっちゃんが呼んでるんだ。
 来てもらえるか?」

「参りましょう。土方君」


ゆっくりと視線を空から戻すと、
山南さんは、土方さんと共に邸の方へと歩いて行った。


花桜が昨日、握って瑠花を守った刀を握ったまま、
与えられている自室へと戻って部屋の中に置くと、
瑠花の部屋の方へゆっくりと向かっていく。


花桜……。



今、何処に居るの?



鳴神。

雷が鳴って、光と共に消えた。


山南さんはそう言ってた。


花桜は私たちの現代に戻ったの?




それとも……。




どちらにしても……残された私が、
この場所ですることは変わらない。




瑠花を守りながら、
ちゃんと……晋兄や義兄たちも助けたい。



大切な人を、この手で守るのが強さなら、
私も……その強さを掴み取りたいよ。



花桜が……その覚悟を胸に、
この世界に生き続けたのだから……。




逃げてちゃダメなんだ。


ちゃんと、現実(いま)と向き合わないと……。



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