約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
記憶を辿る私の脳裏に浮かぶのは、
雷しか思いつかない。
雷。
空を切り裂くような稲光と雨が降ってた……。
そうよっ、雨と雷よ。
雨と雷が私をまた
あの世界に連れ戻してくれる。
そう思い立って、立ち止まって空を見上げるものの
目の前に広がるのは、真っ青な空。
雲……一つない……。
雨も雷も難しいか……。
がっくりと首を垂れながら、
当初の目的でもある、図書館へと辿りつく。
初めて立ち入る市民図書館。
だけど敬里が言う通り。
図書館なんて今まで立ち入ったこともない私には、
棚一面に並ぶ本の山を見ただけで眩暈がしそう。
そう思いながらも……この場所は、
何故か懐かしい匂いがする。
壁一面に並べられた本。
見渡す限りの棚に、
ぎっしりと詰め込まれた本。
……山南さんの部屋みたいだよ……。
そのままブラブラと図書館の中を歩いていると、
[歴史小説]と書かれた棚の中に新撰組の文字を見つける。
棚一面に広がる新撰組の文字に……改めて彼らの凄さを思いながら
手を伸ばしていく。
燃えよ剣(新選組血風録)。
新撰組全史。
新撰組大辞典。
新撰組史料集。
新撰組原論。
ずらずらっと立ち並ぶ本の中から気になる本をまとめて抜き取ると、
近くのテーブルに座って目を通し始める。
文字の洪水が押し寄せてくるのに、そこに描かれた私の知らない彼らと
出逢うたびに……心が高鳴る。
山崎さんの活躍……もっと知りたいよ。
最初は興味本位で、読み焦っていく本も、
私たち三人が出逢ってからの物語のシーンに射しかかる頃には
疑問ばかりが気にかかる。
瑠花が鴨ちゃんと慕っていた、芹沢さんの書かれ方が酷すぎる。
確かに……現実に起きた出来事は間違ってないけど
本当はもっと深い問題があったのに。
読めば読むほど、
その先は……不満ばかりが募っていく。
そんなの違うっ!!
私が知ってる人たちは、怖くて厳しいけど……非道なわけじゃない。
悪者じゃない。
ただ純粋に……守りたいものの為に
精一杯生きてるんだから。