約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
「行かなきゃ」
稲光が空一面に広がる中、
私は沖影と共に道場を飛び出す。
沖影の真上に落ちた稲光は、
そのまま空を切り裂いて……
私は真っ暗な世界に吸い込まれた……。
★
目が覚めた時……私は古びた、
小さなお堂のような場所に居た。
「えっ?」
ゆっくりと体を起こして、
沖影を探す。
沖影は壁に立てかけられていた。
沖影に手を伸ばして、
お堂の扉へと近づく。
外に誰かいる?
気配を感じて、息を潜め身を縮めながら、
その瞬間を待つ。
ゆっくりと扉が開かれて、
足を一歩踏み入れたとき、
沖影を大きく振りかざした。
私の切っ先をすーっと翻ってよけると
聞きなれた声が降り注いだ。
「なんや、花桜ちゃん。
つれへんなー。
よーやく見つけた言うのに……」
えっ?
この声……。
「……山崎さん……」
沖影を手にしたまま剣をおろして
立ち尽くした私をがばっと胸元に抱き寄せる山崎さん。
えっ?
「お帰り。
オレの子猫ちゃん……」
この呼び方……。
帰って来たんだ……。
私の世界(居場所)に……。
「ただいま」
山崎さんの腕の中、小さく紡いだその言葉に、
山崎さんは強く私を抱きしめ返した。