約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



やっぱり、あの世界の鏡が映し出した
山南さんの負傷は真実なの?



不安を抱えながら、
歴史に明るい瑠花に問いかける。



「瑠花、どうして山南さんがいないの?」



食事をする手をとめて瑠花が小さく耳打ちする。




「山南さん……何時だったか大きな怪我をするの。

 腕を負傷してその後は病気になって
 物語の中ではもう戦いの場にも出ることはない」



えっ?





山南さんが負傷?





堪らなくなって立ち上がる。





「おいっ、どうした?
 山波、食事中だぞ」


「土方さん。
 山南さんに会わせて」




気が付いたら、その場所から土方さんの元に
駆け寄って彼の両肩に手を当ててグラグラ上半身を揺すってた。



「待て待てっ。
 山波くん、歳を離してやれ」



近藤さんの声で、我に戻ってゆっくりと両肩を抑えていた手を離した。



「……お願いします……。

 山南さんに会わせてください……」




その場に崩れるように、
もう一度小さく呟く。





「山波くん。
 とりあえず朝餉を済ませなさい」



近藤さんに言われるままに、
とぼとぼと自分の席に付くと
ゆっくりと食事をすすめた。





朝餉を片づけ終わった頃、
近藤さんと土方さんが姿を見せた。





「山波」




土方さんに呼ばれて、舞と瑠花と離れて、
私は二人の後をついて行った。




二人に連れられて歩いて行ったその場所は、
屯所内の奥にある一室。



近藤さんと土方さんは、
その場所で立ち止まった。




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