約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く






「山波くん、ここだ」





立ち止まった二人に続いて足を止めた私は
扉の前でゆっくりと深呼吸する。





「山波くんが、神隠しにあって間がない頃だった。

 不逞浪士取り締まり中、左腕を負傷して、
 今もこの部屋で養生している。

 後は君に任せる」





そう言うと、近藤さんと土方さんは、
ゆっくりとその場所を離れて行った。


私の中で違和感が駆け巡る。







どうして?


試衛館の時代から、共に行動してきたはずなのに
何故か今は距離が出てきているように感じられて。




もう一度深呼吸をして、
ゆっくりと部屋の前で正座をする。




「山南さん、山波です」



外から声を張り上げても、
中からの返事はない。


ゆっくりと襖に手をかけて、
横に弾くとそこには魘されている山南さんが見えた。



その場で、慌てて駆け込むと山南さんの額に掌を乗せる。


痛々しい腕の傷跡を保護しているらしい、
包帯が、血の赤さを滲ませながらチラリと見え隠れする。



熱に魘される山南さんを見ながら、


桶にくまれている、
水を手ぬぐいに浸して顔の汗を拭きとる。



そしてもう一度、
濡らした手ぬぐいを額の上へと乗せ換える。



その時、熱に魘されるなかゆっくりとその瞳が開いた。



「山南さん……」

「やっ……山波くん……
 ご無事でしたか……」

「はい。

 昨日……山崎さんに助けられて
 帰ってきました」




そう告げると、痛みと熱に魘されながらも、
柔らかに微笑むとゆっくりとその瞳を閉じた。




……山南さん……。


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