約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



山南さんを見つめながら、
遠く現代にいる、
お祖父ちゃんを思い起こす。




この人が私のご先祖様。
お祖父ちゃんの曽祖父。





嘘みたいだよ。





目の前にいる、
山南さんはまだこんなにも若いのに。



少しでも山南さんの痛みを取ってあげたい。




こっちに戻ってくるときに、
現代の薬、どうして持ってこなかったんだろう。




せめて薬さえあればこんなにも魘されずに
すんだかもしれないのに。




手を握るしか出来なくて、
眠る山南さんの手を両手でギュッと握りしめる。



ただ……今はもう一度、
心から笑いかけて欲しくて。





ふと、ゆっくりと襖が開かれる。





慌ててその方向へ視線を向ける。





「なんや、焼けるなぁー。

 花桜ちゃんに、
 そんな表情させて」




そう言いながら姿を見せたのは、
山崎さん。




「仕事は?」

「さぼってないで。
 これも立派な仕事やさかい」




そう言うと、足音も立てずに山南さんの傍に座ると、
傷口の包帯に手をかける。



「別にそうやって、 山南さんの手握ってたかったら
 握っとってもええけど傷口酷いから、覚悟してや。

 嫌やったら目を背けてたらええ」

 
そう言いながら、真剣な眼差しで包帯を外していくと、
傷口を消毒してもう一度、新しい包帯を巻きなおしていく。


「山崎さん助かりますか?」

「そうやな……」



山崎さんの言葉はその後、続くこともなく
いつものようにおちゃらけて言うこともなかった。




沈黙が広がる世界。
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