約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
花桜が行って、舞が行く。
現場に行かないのは、
私だけか……。
でも私には、私の戦がある。
そうやって話しているさなか、
炊事場に顔を出したのは、
険しい顔をした土方さん。
「山波居るか?」
花桜を呼びに来た土方さんに
勇気を出して話しかける。
「あっ、あの。
土方さん……、話があります。
お時間頂けますか?」
真っ直ぐに視線を向けようとするだけで、
その目力に思わず背けたくなる。
だけど……
今、ここで背けちゃいけない。
「岩倉、話しは向こうでいいか?」
えっ?
てっきり、『てめぇと話すことはない』っとか
言われると思ってた私は土方さんの返事に拍子抜け。
「をいっ、岩倉。
話すのか?話さないのか?
俺も忙しいんだ」
イライラ感を募らせた土方さんに、
私は慌てて、
「行きます」っと返事を返した。
舞をまた炊事場において、
花桜と二人、土方さんの後をついていく。
ついて行って通された部屋は、
めったに会うことのない、
近藤さんのいる部屋だった。
「近藤さん、
山波と岩倉を連れてきた」
そう言うと、土方さんはスタスタと
近藤さんの隣に腰をおろす。
「失礼します」
「お邪魔します」
そうやって二人、
それぞれに声を出して
部屋の中に入ると、
促された場所に座った。
「山波くん、その羽織は?」
「山南さんの羽織です。
私も連れて行ってください」
近藤さんに向かって、
そうやって言い切る花桜。
「連れて行くって言っても俺らは遊びに行くわけじゃない。
足手まといは必要ねェ。
てめぇに人が斬れるのか?」
次に向けられる
土方さんからの言葉の刃。