約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
45.真っ直ぐに見つめる先 -舞-
義兄の死から数日が過ぎた。
鷹司邸。
あの場所で、義兄と一緒にこの命が果てるなら、
それでもいいとさえ思ってた。
だけど瑠花と沖田さんによって生かされた私。
義兄の分まで、生きてこの世界を見届けたい。
流されて生きるのではなく、私自身が全てを決断して、
力強く歩いて行きたい。
義兄が居なくなった歴史も事実も変わらない。
変わらないけど……悲しいけど、
義兄はいつも近くに居てくれる。
そんな風にすら思えて、今穏やかに過ごせるのは、
多分、瑠花が言った『見届けること』。
その意味と役割が、
かなり大きいのかもしれないと思えた。
朝、自分の部屋から外に出て庭へと下り立つ。
空を見上げながら深呼吸すると、
眩しい太陽の光が私に注ぎ込む。
*
ねぇ、義兄もう泣かないから。
ちゃんと貴方を探し出して助けるから……。
*
空を見上げながら、小さく話しかけた。
キイっと音を立てて勝手口のドアが開く。
慌てて、その方向へと視線を向けた。
「もういいのか?」
ゆっくりと外から朝帰りの斎藤さんが
私の方へと近づいて問いかける。
「はいっ。
立ち止まっては居られませんから。
あの……隊から勝手に抜けて別行動してすいませんでした」
「納得できる別れが出来たのか?」
更に言葉を続ける斎藤さん。
納得出来る別れ。
そう言われると、何が正しかったのか、どうすれば納得出来たのか
そんなものは即答できるはずもなくて。
「納得出来るかどうかは、正直わかりません。
ただ……見届けることだけは出来ました」
「そうか」
「あっ……あの、近藤さんや土方さんに謝りに行く方がいいですか?
隊を離れて……」
「行く必要はない。
局長にも副長にも話はすでに通してある。
加賀は俺の指示で別行動した。
その別行動の共に、岩倉が付き添い、沖田さんが護衛として付き添った」
さらりと返って来た言葉に私は絶句する。
また……助けてくれた……。
この人って?