約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
5.二人の約束 - 瑠花 -
翌朝、鳥の囀りと共に目が覚めた。
真っ暗な夜。
豆電球一つない部屋で硬い布団に寝かされて
過ごした一夜。
寝れるわけないじゃない。
私の隣、器が大きいのか、
現実を知らないのか、
花桜はぐっすりと爆睡中。
目を閉じると、
思い返すのは銀色に輝く閃光。
眠れるわけないよ。
ゆっくりと体を起こして、
顔を寝顔を見つめる。
一組の布団を一緒に使って寝た昨晩。
この場所は、何年かわからないけど、
幕末の京。
そして昨日、私が出会った人が
TVや本の中だけの人物だと思ってた
沖田総司。
あの沖田総司が同姓同名の別人だったら
どんなに良かった?
幕末の物語の中で
ずっと大好きだった総司。
『殺すよ』
私に向かって冷やかに放った
沖田さんの声を思い返す。
あんなの……総司じゃないよ。
私の隣ゴソゴソと動いた花桜が、
むっくりと起き上って立ち上がると、
真っ直ぐに障子の方へ歩いて勢いよく開け放った。
朝の光が部屋の中に差し込んでくる。
「何をしてる?」
低い声で花桜に問いかける人。
「花桜っ」
慌てて花桜のところに駆け寄ると
花桜はにっこりと笑いかけた。