約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
「瑠花、大丈夫。
私の後ろに居たらいいから。
何をしてるって太陽の光を浴びたかったの。
朝一番に、窓を開け放って
新鮮な空気を体の中に取り込むのは私の日課なの。
逃げることも隠れることもしないわよ。
だから、外の空気を吸うくらい、
許しなさいよ」
花桜は、その人に言い放つ。
「……好きにしろ」
短く返事した、その人に背中を見せて、
庭の方までスタスタと歩いていくと、
両手を広げて楽しそうに伸びをしてた。
って、花桜。
アンタ、
どんだけ楽天的なのよ。
伸びの後は、そのまま土の上に
両手をついて腕立て伏せを始める。
親指だけを地面につけて、
人差し指から、小指までを
地面から浮かせてする独特の腕立て伏せ。
「一、二……」
マイペースに、
声なんて発しながら。
そんな花桜を見つけたのか、
部屋に近づいてくる足音。
「斎藤さんがこんなに甘い人だったなんて
知りませんでした」
クスリと不敵な笑みを浮かべて、
近づいてくると、
そのまま……腰の刀に手を添える。
「花桜っ!!
逃げて」
大声で叫んだ私と、
沖田さんの刀が鞘から
解き放たれたのは同じ頃。
間一髪の身のこなしで
受け身をとりながらその一撃を
交わした花桜。
次の一手が繰り出されたときに
沖田さんの剣を受け止めたのは、
昨日……穏やかな微笑みを携えた山南さん。
「騒々しいと尋ねてみればこの始末。
沖田くん、剣をおさめなさい。
そして貴女も、あてがわれた部屋に戻りなさい」
反論を言わせない口調で
ゆったりと告げると、
自らの刀も鞘へと片づける。