約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
1.家宝の剣 -花桜-
真っ白な白装束が
やけに脳裏に焼き付く。
顔の見えないその人は、
穏やかな微笑みと共に暗闇へと散って行った。
*
「花桜、起きなさい。
何時までも寝てるんじゃありません。
早く起きて道場に行きなさい」
突然、部屋の襖が開いてお母さんの声が耳につく。
「うるさいなぁー。
起きてるよ」
寝起きの体をベッドの上に
ゆっくりと起こすと、腰まである
長いストレートの黒髪に手櫛を通す。
「煩いなぁっじゃないでしょ?
花桜、今日は剣道の全国大会。
試合の前に、
お義父さまに手合せして貰うんでしょ。
お義父さまが道場で待ってるわよ」
お母さんは、
そう言って部屋を出ていく。
慌ててベッドサイドの
携帯を引き寄せて画面を魅入る。
六時。
いやぁー。
お母さん、何で六時になんて起こすかな。
お祖父ちゃんとの
約束の時間じゃない?
慌ててベッドから飛び出すと
稽古着に袖を通して部屋から
慌てて飛び出す。
自宅から道場までは、
僅か五分に満たない距離。
お祖父ちゃんにお説教くらうのは
間違いないだろうなー。
そう思いながら、
慌ただしく家を飛び出そうとすると、
別の声が聞こえた。