約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
6.知らない世界 戸惑いの暮らし - 舞 -
今、私は江戸から、
御殿場へと向かってる。
長州で晋作さんと義助さんに助けられた数日後、
義助さんたちの旅立ちが突然決まった。
当初、『君はここに居たらいい』
そう言ってくれた晋作さんの言葉を押しのけて、
一緒に行きたいと我儘を通した。
長州を出て行商として旅を続ける私たち。
一度、江戸で晋作さんたちは誰かと会うと、
そのまま今度は、御殿場へと移動した。
自分が誰かもわからない。
何処かもわからないこの場所で
一人、残されるのは嫌。
誰も知らない場所で過ごすほど、
不安なものはないから。
だったら、
今、私が居るこの世界で
少しでも信じられる
二人の傍に居たい。
心がそう告げたから。
何度も何度も頭を下げて、
我儘を通して……ようやく、
承諾してもらった旅のお供。
お二人を指示するお仲間さんたちをはじめ、
お二人にも迷惑かけたくなくて必死に移動続けた。
船旅は……船酔いが酷くなって
立ち上がることすら出来ないありさま。
陸路にかわると、ひ弱な足の裏が
悲鳴を上げる。