約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
*
目が覚めたら、
また……見知らぬ部屋に居た。
目の前に広がる天井。
「舞さん、気が付きましたか?」
私が眠る隣には義助さんが座っていて、
桶の中の水に手ぬぐいを浸して絞り、
私のおでこへともう一度戻した。
そして眠る布団の逆側、
晋作さんが壁に持たれるようにして
じっと見つめながら座ってた。
「馬鹿がっ。
無理してどうする?」
えっ?
「晋作は、舞さんが旅の疲れで倒れて以来
心配してたんですよ。
それは私も同じですけど」
旅の疲れで倒れた。
この言葉がずっしりと
重くのしかかる。
迷惑をかけないって
そう言って、長州から江戸へ。
江戸から、御殿場へ。
ずっとついてきたのに私、
迷惑かけてばかりだよ。
「どうした?
どこか痛いのか?」
何も出来ない自分が悔しくて
涙が出てるくる。
どうして、
記憶がないのよ。
どうして、
何も思い出せないのよ。
舞って名前も晋作さんが
つけてくれた名前。
私は……誰なの?