約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
14.月を聴かせて- 瑠花 -
食事をとらなくなって
どれくらいの時間が過ぎただろう。
この世界に私の居場所はない。
ううん……自業自得。
私が自分で、この世界から遠のいて行ってる。
あの日を境に、
この部屋には花桜以外近寄らなくなった。
後どれくらい、この場所で
自分を追い込めば私の世界に戻れるの?
誰か……誰か教えてよ。
毎日願い続ける元の世界への帰り方。
どれだけ祈り続けても
決して、その道が開くことがない。
枯れるまで流し続けた涙。
時折、部屋の障子をあけて空を見上げる。
あの空が開けば、
私は……帰ることが出来るのに……。
今日もボーっと空を見上げる。
「入るぞ」
ふと……声が聞こえて、
私の向かい側にドシっと腰を下ろす。
「……鴨ちゃん……」
思わず呟いてしまったその言葉に
両手で自分の口に手を添える。
「瑠花、その鴨ちゃんってのはなんだよ?
月の呼び方か?」
怒ってる風でもなく、
砕けたように豪快に笑いながら
話しかけて来る鴨ちゃん。