約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く


……どうしよう……。


心細さが一気に支配していく。




『舞、大丈夫だよ。
 私はここに居るから。

 晋兄とは……会えなかったけど、
 あの日……私は義助には出逢えたから』




眠って起きたあとなのに、
その私をかき乱す声が脳裏から離れることはなかった。



静かに響くように浮かび上がる言葉。



その声を何度も耳にしているうちに
意識が麻痺しているのか、
先ほどまでの嫌悪感が少しずつ薄らいでいく。




「貴女は義助さんの居場所を知っているの?」


『うん。
 知ってる……。

 早く行かなきゃ……早く行かなきゃ、会えなくなる』




えっ?


早く行かなきゃ、逢えなくなるってどういうこと?


意識の声が聞こえるままに、私は身支度を済ませて、
宿を飛び出していく。



いつもは真っ暗な暗闇。
なのに今日だけは、何処か様子が違う。

街中のあちこちに、
松明と篝火が立てられている。


そして鎧兜を身に着けた人たちが、
あちらこちらに集結していた。




「あっ、あそこ。
 あの人に聞いたら……」



人を見つけて駆け出そうとした私を
中の声が制止させる。



『舞。

 あっちに行っては駄目よ。
 あれは薩摩。

 そして向こうは会津。

 義助たちの仲間ではないから……。
 あの場所に行っては駄目』




危険シグナルを告げるように
意識に流れ込んだ声は、
私の体の自由を奪っていく。


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