約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
「あっ、あの……。
お梅さん、沖田さんと?」
沖田さんと何話してたんですか?
「あぁ~、総司の恋相談」
はい?
沖田さんの恋愛相談?
嘘でしょ。
お梅さん……。
あの……沖田さんが誰かに恋してるなんて。
冗談でしょ。
「えっ?沖田さん。
お梅さんのことが好きなんですか?
お梅さんには、鴨ちゃんがいるのに」
真剣にそう切り返す私に、
お梅さんは、クスクスと笑いだして。
もう……お腹抱えてまで笑うことないじゃない。
「もう」っと頬を膨らませて睨む私を見て
体制を立て直したお梅さんは「かんにんなぁ~」っと
言葉を続けた。
「だったら……どうして?」
気が付いたら
言葉にしてた本音。
呟いたその言葉に、
満足な返答を得られぬまま
無情な時間は過ぎていく。
会津藩からの命令が届かない
状況下の中、出陣を決めた壬生浪士組。
慌てて八木邸へと戻って、
鴨ちゃんに近寄る。
「瑠花、お前はここで俺の帰りを待ってろ。
うまい酒を頼む」
大きな手で、頭を子供に接するように
撫でつけると隊士たちをつれて出て行った。