約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
その声の後、その人は淡い光となって
私の体内に溶け込んでいく優しいイメージが
脳内に広がる。
吸い込まれた後パチーンっと、
弾けとんだような光が体が広がって
ほのかに温もりが流れ込んでくる。
そんな光に包まれた私の体のなかへと
その光は吸い込まれていった。
「ねぇ?何したの?」
『大丈夫。
私の声は届かなくてもは私は貴女と一緒にいるから……。
舞の願いは私の願い。
今度こそ、舞は未来を切り開いて。
貴女がもう悲しまなくていいように』
謎の言葉を残して、
音信不通となった舞と名乗った心の声。
その声は聞こえてしまったけど、
それでも私の心は、ほっこりとして温かかった。
湧き上がってくるビジョンは、
私自身をゆっくりと安定させていく。
★
【-記憶-】
『しんにい、よしにい。
舞もつれてってよー』
まだ小さい私が二人の後を
追いかけていく。
「舞、そのままだとこけるぞ。
お前はお転婆なんだから」
『舞、お転婆じゃないよ。
ちゃんとお炊事だってお母さんの手伝いしてるもん。
お味噌汁は舞も作れるようになったんだから』
初めて流れ込んでくる、
その映像を見つめながら私の中に広がっていく懐かしさ。
*
そう……これは故郷。
私は、いつも晋兄と義兄と一緒だった。
晋兄は村の大きなお家のお兄ちゃん。
村の皆は風変わりな坊ちゃんって言ってたけど
私にとっては……知らない世界を沢山教えてくれる
憧れのお兄ちゃん。
義兄は隣の家に住んでて、いつも泣いてた
私に声をかけてくれた優しい人。
何をするにも一緒に連れてってくれた。
砂浜を走るのも、山登りをするのも、
海を泳ぐのも。
上手く出来なくて、泣いたら、慌てて私の元まで
駆けつけてきて涙をふき取って一緒にしてくれた。
そんな義兄を見ながら晋兄は言ってたっけ。
『義助は、舞には甘すぎるんだよ。
だから舞は何時まで経っても何も出来ない子供のままなんだ』って。
その度に「義兄を悪く言わないでっ!!」って何度も言い返してた。
そんな三人で過ごし続けた楽しい時間も、
いつかは別れの時間がやってくる。
晋兄は村を飛び出して何処かに消えてしまって、
義兄も結婚してすぐに、勉学の為って藩の許しを貰って村を出て行っちゃった。