約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く
志【こころざし】を叶える為。
ずっとずっと、
あの二人はあの当時からそんなことばっかり言ってた。
二人が居なくなった故郷で海を眺めながら過ごした私は、
いくつもの四季の景色を見送って二人を探す旅に出た。
初めての一人旅。
路金なんてそんなに持ってなくて、
びくびくしながら寝た野宿を繰り返し、
ズルズルに向けた足を庇いながら目的もなく、
二人を探して彷徨い続ける。
何度か行き倒れかけて、
いろんな人に助けて貰った。
そうして……ようやく再会出来た晋兄と義兄。
「やっと逢えた……」
二人の顔を見た途端に視界が歪んで、
そのまま真っ暗くなった。
次に目が覚めたら、
そこには心配そうに私の額に手を伸ばす義兄。
そして座り込んで片膝を立て、
刀を肩に立てかけながら目を閉じてる晋兄。
『舞。
君はどうしてこんな無理をするんだ?』
ただ心配そうにまっすぐに私を捕えて説教を始める義兄。
それとは正反対に、私の頬に触れた後、頭の上に拳骨をふらす晋兄。
旅の疲れで高熱が出て一週間以上、
床に伏せたままだったのだと後から知った。
帰れって言われても、絶対に帰るのは嫌だって、
我儘を言い通して、そのまま晋兄たちとのところに居座った私。
そして事件が起こったんだ。
☆
事件……。
湧き上がってくる記憶の渦に翻弄されながら、
時折、ズキンと痛みが増す頭に手を添えながら考える。
なんだっけ……。
『八月十八日の政変』
脳裏に……優しい声が聞こえる。
その声は……あの時、
出逢った瑠花さんの声に似ていて
その脳裏の片隅に映る、私と花桜さんと瑠花さん。
そして名前の知らない男。
四人は書物が沢山ある場所で、
見知らぬ服を身にまとっていた。
座り込んで息を整えていると、
再び先ほどまでの頭痛が消えていく。
八月十八日の政変?
あれ?
何?あの映像。