隣の浬世也くん〜その時彼は何を思ったか〜
結局ない頭で考えた結果
「浬世くんから誘ってくるなんて久しぶりだねぇ?」
「そう?」
「そうだよぉ~、私寂しかったんだから」
「お喋りはいいから集中しなよ」
「あ…」
そうだよ、やっぱ俺はこうでなくちゃ
あまりにも菜々子ばかりと一緒にいたせいで
俺の頭が誤作動を起こしてるだけなんだ
『楽しい』を『好き』だなんて勘違いして
こうして前のような生活に戻れば
あんなお子様、天然菜々子のことなんかすぐに忘れてしまう
だけど、どうしたっていうんだ?
どんなに違う女の子と体を重ねても
胸のモヤモヤが溜まる一方で気持ちは晴れない
性欲は満たされてもそれとは違う
一番大切な部分は
誰といたって
誰と話したって
干上がったダムみたいにカラカラだ
これじゃない
俺が求めてるのはこんなことじゃない
菜々子の笑顔が見たい