隣の浬世也くん〜その時彼は何を思ったか〜
俺はそれから菜々子の恋の応援団長になった
菜々子から聞かされた
菜々子と工藤の出会いは物凄くシンプルなものだった
凍結した道で菜々子が転びそうになったのを支えたのが工藤だったらしい
そんなことで好きになってくれるなら、俺だって何百回でも助けてやるのに
毎日、楽しそうに工藤の話をされて
なかば拷問のような日々
ああ、これって罰なのかもな…
菜々子のファーストキスを掠めた罰
毎日聞いてるうちにやたら工藤に詳しくなった俺
『工藤斗真』
男の癖に綺麗な顔
まあ俺も母親似でキレイとか言われるけど
あいつはもっと中性的な雰囲気
クールで頭もそこそこ良くて
制服もキッチリ着こなして
つまり俺とは正反対…
結構凹む
何か悪いところがあるとしたら
女癖…
これが特に悪い
特定の女といるところを見たことがない
女を女と思ってない態度
言い寄ってくる女には正直ウンザリしてるんだろう
女に関してはクールって言うより無関心
そして近くでいるのは菜々子と正反対
綺麗で色気のある女で、所謂やるのに問題ないタイプ
まず菜々子は相手にはされないだろう
でもそれが俺をますます不安にさせる