隣の浬世也くん〜その時彼は何を思ったか〜
単純な菜々子はそんな俺の気持ちなんか知りもせずに
俺の意見を名案だなんて言って笑った
そして菜々子はすぐに行動に移す
結果はもちろんダメで
ほぼ予想通り
予定通りなのに
相変わらず不安は去ってくれない
去るどころか膨らむばかりで…
「斗真くんがね~」
フラれたはずの菜々子は相変わらず元気で
前より工藤の話ばかりするようになった
工藤の態度と雰囲気も今までと少し違う
柔らかくなったというかギスギスしていない
よく笑うようになったと思うのは気のせいだろうか?
そのうち女と歩いているのもあまり見かけなくなって
菜々子を視界にいれるといつも工藤が一緒に写るようになった
工藤は菜々子の言動に振り回されて
不機嫌そうに顔を歪めるけれど
まだ自分の気持ちに気づいていないのか
いや…意識しているけど、本人は認めたくないのかも
きっと工藤は知らず知らずに菜々子に捕まっていたんだ
俺はそこまで考えて
やっと自分の不安の原因と
失態に気がついた