秒殺☆KILLER
き、昨日ちゃんと徹夜して予習したかいあってか・・・



全部、覚えてます!!
奇跡的!ミラクルです!!



「(覚える、戦争、生まれる、結婚・・・)」

面白いほど鉛筆を持つ手が止まらない、目にも見えない速度で書き続けている。
手裏剣投げる時よりも早いっ!!

「(非論理的、客観的、自己中心的・・・)」

とにかく書ける書ける!!





『飛我って美人だよねー』





ピタッ



さっきまで止まらなかった手が急に止まった。

鼓動がいつもの倍以上に加速する。

鮮明に頭に思い浮かぶのは桜君の笑顔。

「(て、テストに集中して・・・)」



・・・どうしよう、テスト用紙が真っ白に見えてきました。



「(待って、おかしい、落ち着いて私・・・ッ)」

手がだんだん小刻みに震え始める。

飛我燕、私はまだ高校二年生になったばかりの十七歳。
恋を一度もしたことがない。

「(テスト、桜君、テスト、桜君、テスト、桜、テスト、ちぇ、チェリーブロッサム?)」

パニック、パニックっていうのかこれは。

やっと単語で出てきた。
そうだ、私今テスト最中に軽く桜君のせいでパニック起こしてる。





『俺、飛我に完ッ璧に惚れたからっ!!』





ドクンッ。



・・・熱い。

な、なんか目頭が熱い。
熱じゃなくて、涙が出るとかじゃないくて・・・



ドクン
ドクン
ドクン



さっきよりは落ち着いてきた。
だけど、やっぱり手は震えてる。
しかも、ちょっと嬉しいっていう・・・





『恋』






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