豹変上司に初恋中。
それからしばらくして、私は編集長に呼び出されていた。
編集長は資料を眺めたまま、淡々と説明をしていく。
「……え、七瀬さんと?」
「そう。例の企画応募の〆切も近付いて、忙しいとは思うんだけど……」
その内容は、今まで梓が一人で仕切ってきた企画を一緒に組んでやる事、だった。
「実は、前回の失敗で今後同じ過ちをしないように誰かつける、という話が上がってね。本当は必要ないと思ったんだけど」
にっこり笑って、編集長は私を見遣る。
そして、また口を開いた。
「確かに、七瀬さんはかなり行動力がある。代わりに、考える時間がとても短い。折角だから、君についてもらってお互い感化出来たら、と思ったんだ」
「え?」
戸惑う私に、編集長は少し考えながらも説明を加えてくれた。