豹変上司に初恋中。

「――佳代。悪い、仕事中か? ……いや、ちょっと」


佳代。女の人の名前だ。


暫く話して、編集長は携帯をソファに放り投げた。

「……迎えを呼んだから、お前は気にしなくて良い」


こんな時に、呼ぶ女の人。

それって、


「そう、ですか」

自分の中で想像が広がっていって、声が驚くくらい沈んでしまう。


「えと、」

じゃあ、私はこれで。


そう言おうとして、また口を閉ざす。

その後、少し前に自分が考えた事を反芻した。

「……佳代さん」

「ん?」

「佳代さんは、いつ頃いらっしゃいますか?」

突然の私の言葉に、編集長がちょっとだけ目を見開いた。
< 113 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop