豹変上司に初恋中。
佳代さん、
ーー
冷めたココアを飲みきってしばらく経った頃、とうとうその時が来た。
――♪
携帯が、震えだす。
勿論、表示された名前は『佳代』さんだった。
「わ……!」
驚いて、慌てて編集長の肩を揺らしてみると、彼はゆっくりと瞼を持ち上げる。
「す、昴さん!」
咄嗟に名前を呼ぶと、一瞬編集長は大きく目を見開いた。
「……!!」
直後、私から離れる。
「え、」
突然の反応にびっくりしていると、
「……なん、だ。呉羽、」
と、安堵したように微笑んで。
「あ、あの」
さっきの反応、なんだったんだろう……
不思議に思っても、聞き出すことができない。