豹変上司に初恋中。
「佳代、来たのか……」
「あ、はい」
彼は、携帯の表示を見て、スッと立ち上がる。
そのまま携帯を耳元に運んで行った。
「……ああ、ありがとう。荷物とってすぐ行く」
通話を切ると、編集長は私に向き直った。
「行くぞ」
「はい?」
「……迎え来たから」
編集長は首を傾げたままの私の腕を、ぐい、と病人とは思えない力で引っ張り立ち上がらせる。
「あ、あの」
「ありがとな。佳代に送らせるから、行くぞ」
「えええ!?」
ちょ、ちょっと……それはどうなんでしょう。
そんな気まずい、
と必死の拒否もむなしく、私はそのまま連行されるのだった――