豹変上司に初恋中。

―――

「昴さ……」


会社の前には、ピカピカの車が待機していた。

こっちは外車ではなく、最近よくテレビのCMでも見かける車だ。


編集長の姿を確認して、車の前に立っていた女の人が手を上げる。

が、その手は途中で止まった。


……私の事を視界に入れたからだろう。

分かりやすくその人の眉は顰められた。

一方で、私は驚愕の表情を抑えられない。


立っていた「佳代さん」は、――――……


「……お久しぶりね。また会えて嬉しいわ」

と、心にもない言葉。

いつもと髪形は違うけれど間違いない。


「お、お久しぶりです、……女将さん」

会ったのはほんの数回。でも、強烈なイメージは残ってる。


この人が「佳代さん」だったんだ……。
< 118 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop