豹変上司に初恋中。
―――
「昴さ……」
会社の前には、ピカピカの車が待機していた。
こっちは外車ではなく、最近よくテレビのCMでも見かける車だ。
編集長の姿を確認して、車の前に立っていた女の人が手を上げる。
が、その手は途中で止まった。
……私の事を視界に入れたからだろう。
分かりやすくその人の眉は顰められた。
一方で、私は驚愕の表情を抑えられない。
立っていた「佳代さん」は、――――……
「……お久しぶりね。また会えて嬉しいわ」
と、心にもない言葉。
いつもと髪形は違うけれど間違いない。
「お、お久しぶりです、……女将さん」
会ったのはほんの数回。でも、強烈なイメージは残ってる。
この人が「佳代さん」だったんだ……。