豹変上司に初恋中。
車が動き出してから暫くすると、昴さんが前を向いたまま口を開いた。
「悪かったな。今度礼するから」
「そんな、気にしないでください。……大体、昨日も言いましたけど、もっと部下を頼ってくれても良いんですよ。無理しすぎなんです」
つい言ってしまった私の言葉に昴さんがクス、と笑って「ありがとう」と返す。
……最近、あんなに気まずかったのにな。
全然、気まずくないや。
ちら、と横目に昴さんを見る。
なんだか最初に「昴さん」を知った時を思い出すな。
車を運転する横顔は、本当に綺麗で。
「……お前、よく凝視するよな」
「え、あ! いや、……すいません」
「別に良いけど」
指摘されて、じっと見過ぎていた事に気が付いて、慌てて窓の景色に目を向けた。
次第に、景色が見慣れたものに変わっていく。
その時、昴さんがゆっくりと口を開いた。