豹変上司に初恋中。
「……前に言ったな。女嫌いだって」
「え? あ、はい」
視線を窓の外から昴さんに移す。
視線の先では、昴さんが少し懐かしそうに口元に笑みを浮かべている。
「本当に嫌いだったんだ。近付いてくる『女』は全員」
「私もですか?」
「いや、お前達は『部下』だったから」
「な、成る程…」
まあ、当然か。
私だって、前までは『上司』って認識だったから。
納得して頷いて、次の言葉を待つ。けれど、いくら待ってもその後が続かない。
車内は沈黙に包まれた。
と、車が静かに停止する。
気付くともう、私の家まで着いていて。
「あ…ありがとうございました」
お礼を言って、シートベルトを外す。
そして、車を出た瞬間。