豹変上司に初恋中。





「ーー……でも、お前みたいな女は嫌いじゃない」




本当に、小さな声で。

微かに聞き取れたその言葉。


「――え、」


その意味を聞き返すより早く、昴さんは軽く手を振った。

「また後で」


私に優しく微笑んで、車を出す。

結局、聞き出せないまま。


私は仕事に行くまでの数時間、何度もその言葉を反芻してしまうのだった。


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