豹変上司に初恋中。
会社が近付くにつれて、だんだん私のテンションが下がっていく。
昨日、今朝は緊張の嵐ですっかり忘れていた事。
そうだ。
……私にはまだ、とても大きな問題が残っている。
―――
「おはよーございます、先輩っ」
明るく、元気よく話しかけてきた梓。
私は「おはよう」と、精一杯の笑顔を返した。
「先輩、今日企画の方忙しいですよね?」
不意に梓が、確認を込めて聞いてくる。
「あ、ううん。選出は明日だから、今日は葉書の整理だけなの。だから、梓の方をメインに手伝うつもり」
私がそう答えると、パッと梓は可愛らしく笑った。
「本当ですか? やったぁ~」
……もう、本当に可愛いな。
嬉しそうに笑ってくれる梓に対して、私は少し胸が痛かった。
だって、私まだ梓に言ってない。
私が、梓と同じ人に恋してるという事を、まだ伝えられていない。
「……梓」
「?」
やっぱり、言わないといけない。意を決して顔を上げる。
そして――
「今日、お昼に話したいことがあるの」
それだけ告げると、梓は首を傾げながらも頷いてくれた。