豹変上司に初恋中。
「……えっと、ね」
なんて言葉から始めればいいんだろう。
黙っててごめん、実は……
こんな感じかな。
「あの、へ、編集長の事なんだけど……」
言いにくそうにしながら、私の気持ちを口にしようとした。
けれど、あっと思い出したように梓が人差し指を立てる。
「それなんですけど、フラれました」
「えっ」
「いや~、ご飯行った時に気になってる事告白したら、『僕には君は勿体ない』って。本当、優しいフり方ですよね」
カラカラ笑いながら梓は出されたコーヒーに砂糖を入れ始める。
「う、嘘……ごめん」
「いやいや、私自身まだ実感なくて。不完全燃焼って感じなんですよね。もうちょっと頑張ってみるかも」
梓は言って、私の目をじっと見つめた。
「で、話って?」
「……あの」
なんか、今の梓の話の二の次に『私も好き』だなんて。
言い出せずに閉口して、どうしようかと悩んで、結局もう一度口を開いた。
「私ね、」
私は、『昴さん』の事だけは話さないようにして、今までの事を全て話した。
――