豹変上司に初恋中。
「まだ好きな人がいるって言ったら、待つって言ってくれて。なんだかね、少しだけ、この人なら良いかもな、って思いました。今結構メールでやり取りしてるんです」
「……そう、だったんだ」
「私、利用して最低ですよね」と苦笑いしながら梓が言うから、私は首を振る。
その反応に、梓は少しだけホッとしたような表情をして、話を続けた。
「それでも、私まだ編集長の事諦められなくて。先輩には申し訳ないですけど、もうしばらくは肉食で頑張りますよ?」
梓は笑みを浮かべて、「だから」と私の目を見つめて言う。
「お互い頑張りましょう。私、先輩が編集長と上手くいくなら、それはそれで良いんです」
その言葉に、私は首をわずかに傾げる。
「だって、吹っ切れますから。華織先輩が彼女なら、まぁいっかな、なんて。私、華織先輩も大好きですもん」
その言葉に、私は思わず目を見開いた。
もしかして、気を遣ってくれてるのかもしれない。
でも、素直に嬉しくて……
「……私も梓、大好き」
私も、梓が彼女なら、諦められるかもしれないな。
つい零れそうになる涙を隠して、本心からの言葉を言う。
梓は「両想いだ」と笑いながら、運ばれてきた料理を食べ始めた。
そこからは、前みたいに恋バナしたり、仕事の話をしたり。
いつも通りのお昼休みを、満喫するのだった。