豹変上司に初恋中。
…あれ?
感動の後、ふと気が付く。

もし、もしも。
bambooが「笹本」から来ているとしたら?


……もしかしたら昴さんの実家って、かなりの資産家?

……ま、まだ決定ではないんだけど。正直十中八九そうだろう。

ああ。なんだか、昴さんが更に遠い存在になってしまいそう。


私は深々と息を吐いて、名刺をしまった。


30分くらいすると、昴さんが足早に戻ってきて。


戻って早々、パソコンや机にあった原稿などを鞄に入れ始める。

そして、それぞれに色々指示を出していった。


「それでは、申し訳ありませんが今日は早退します。よろしくお願いします」

「はい」

昴さんは本当に申し訳なさそうに言うと、まとめた鞄を持ち上げて外に出て行った。


皆ぽかんとしながらも、返事をしてその姿を見送る。

「……?」

昴さんの表情はよく見えなかったけど、その慌ただしさに何処か焦りが感じられて。


私は何となく不安になった。



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