豹変上司に初恋中。
ーーーーside…
呉羽が去った室内は、しばらくの間沈黙が続いていた。
沈黙の中で、少しきつく言い過ぎたかもしれない、と僅かな後悔が俺を襲ってくる。
そんな俺に対して、樹はしばらくの間、俺の見るからにダサい服装を眺めていたが、やがて沈黙に耐えかねたように、俺に呟いた。
「いきなり来て悪かったな、昴」
「……どうせ『会長』の御命令、なんだろ?」
樹は俺の問いに、曖昧に微笑んだ。
肯定か。
「樹。悪いけど、まだ仕事中だ」
そんな言い訳、あの男に通じる訳がないのは分かっている。
俺の様子に、樹は困ったように口を開く。
「……父さんの病状が思わしくないんだ。もう会長の座を降りたよ。もうすぐ、俺が引き継ぐ事になる」
「!」
瞬間、俺の中にとても、……とても嫌な予感が広がった。
「昴、父さんが呼んでる。少し話をしてやってくれ。今日の夕刻に手術があるんだ」
「……」
あの男とまともに話したのは、もう何年前の事になるだろう。
「時間がないんだ。昴、頼む」
頭を下げる樹。
俺は、少し目を閉じて考えて見せた。
呉羽が去った室内は、しばらくの間沈黙が続いていた。
沈黙の中で、少しきつく言い過ぎたかもしれない、と僅かな後悔が俺を襲ってくる。
そんな俺に対して、樹はしばらくの間、俺の見るからにダサい服装を眺めていたが、やがて沈黙に耐えかねたように、俺に呟いた。
「いきなり来て悪かったな、昴」
「……どうせ『会長』の御命令、なんだろ?」
樹は俺の問いに、曖昧に微笑んだ。
肯定か。
「樹。悪いけど、まだ仕事中だ」
そんな言い訳、あの男に通じる訳がないのは分かっている。
俺の様子に、樹は困ったように口を開く。
「……父さんの病状が思わしくないんだ。もう会長の座を降りたよ。もうすぐ、俺が引き継ぐ事になる」
「!」
瞬間、俺の中にとても、……とても嫌な予感が広がった。
「昴、父さんが呼んでる。少し話をしてやってくれ。今日の夕刻に手術があるんだ」
「……」
あの男とまともに話したのは、もう何年前の事になるだろう。
「時間がないんだ。昴、頼む」
頭を下げる樹。
俺は、少し目を閉じて考えて見せた。