豹変上司に初恋中。
私は樹さんと話していた時の事を思い出す。
「そんな、私が悪いんです。仕事中だったのに……」
「……」
その言葉に、昴さんは不思議そうな顔をして。
しばらく顎に手をかけて考える仕草をした。
「仕事中? いや。俺、は……」
そういいながら、昴さんの表情は見る見るうちに目を見開いて、「信じられない」とでも言いたげな物になる。
「? あの」
「! あ、ああ。悪い。……」
……やっぱり、まだ調子悪いんだ。
熱は大分下がったみたいだったけど、症状は結構後引いたりするし。
「昴さん、本当に」
「呉羽」
「あ、はい」
「もしも俺が、……」
何か言いかけて、けれど昴さんはまた口を閉ざしてしまう。
代わりに、突然私の髪をグシャグシャとかき混ぜた。