豹変上司に初恋中。
「わ!?」
ボサボサになった髪を戻しながら昴さんを見上げると、彼は小さく微笑む。
「呉羽、明日の夜空けとけ」
「は、……え!?」
明日!?
突然の誘いに、私は思わず明日の予定を思い起こす。
反応が遅れた私に、昴さんがちょっと心配そうに顔を覗き込んできた。
「昨日の礼がしたい。……駄目か?」
「っ! あ、あの、えっと、大丈夫です」
ずるい。
そんな顔されて、断れる訳がないのに。
頷くと、昴さんは安堵したように息をついた。
「でも、昴さんも今週忙しいんじゃ……」
「……」
その問いには、口の端だけ持ち上げるだけだった。
それが無理に笑みを作ったように見えてしまって。
心配になって昴さんの顔をじっと見つめる。