豹変上司に初恋中。
その日はバタバタしていた事もあり、あっという間に時間が流れていく。
仕事を終えて私は会社の玄関口から離れたところで一人、ぼんやりと立っていた。
昴さんに車を取って来るから外で待っていてくれ、と言われて待ってるんだけど……
一体、話ってなんなんだろう。
なんだか良い予感はしないのが悲しい所。
と、私の前に、ピカピカのベンツが滑らかに止まった。
スッと外に出てきたのは勿論昴さん。
「お疲れ様です」
「ああ。待たせたな……ほら」
昴さんは助手席側の扉を開いて私を促す。
「あ、ありがとうございます」
ナチュラルなエスコートを少し照れくさく思いながら、私はお言葉に甘えて助手席に乗り込んだ。