豹変上司に初恋中。
だって、さっきの話だと昴さんはbamboo resortの総支配人を継ぐかもしれない。
じゃあ『編集長』は?
昴さんは、あの仕事を大切にしている。
格好まで変えて、一人一人をしっかりと見守って。
それなのに、あっさりと止めるなんて信じられない。
もし、それが『保険』につながっているとしたら?
たまに、自嘲的に笑う昴さんをふと思い出した。
「……」
目元に手の甲を押し当てて、涙を拭う。
……また逃げる所だった。
「頼ってほしい」と言っておきながら、結局自分の事で精一杯だったんだ。
ぎゅ、と手を握り締めて、私は部屋に戻ることに決めた。