豹変上司に初恋中。
触れて、何か枷がはずれたかのように、その唇を貪った。
「……んっ、」
漏れる声を耳にして、自分の理性なんて取り戻せるはずもない。
必死になって、俺の服を握りしめる様も愛しくて。
ーーああ、後戻りは出来ない。
なけなしの理性を総動員して、俺は「あの女」の事を考えた。
きっと、あいつは「また」何かしてくる。以前のように。
だから俺は呉羽の意見なんて聞かず、遠ざけようとした。
「……馬鹿は、俺か」
「? 昴さ、……」
ふと顔を離して、自嘲する。
その声に不安を感じたのか、俺の名前を呼んだ。