豹変上司に初恋中。
『あの女』
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「う……?」
朝、目を覚ますと私はふかふかのベッドの上に横たわっていた。
余韻に浸りながらも、ゆっくりと重たい瞼を持ちあげて。
「!!!!」
……一瞬で覚醒した。
伏せられた長い睫毛、スッと通った高い鼻、少し眉間に寄せられた整った眉、そしてそれらを隠してしまいそうな眺めの前髪。
そんな端正な顔がすぐ目の前にあった。
なんで、昴さんが?
あれ、ここって……
軽く辺りを見回して、自分の部屋じゃないことに気が付く。
間違えるはずもなく、昴さんの部屋だ。
ハッとして自分の服装を見ると、スーツのままだった。
…昴さんも。
しかもよく見ると、私は昴さんのシャツの袖を握り締めていて、昴さんは寝かしつけるみたいに添い寝をしてくれているように見える。