豹変上司に初恋中。

「俺が知ってる料亭の中では1番上手いんだ」


あ、やっぱりそうなのか。

納得しながら、また部屋を見遣る。

……それにしても。

聞いていいか迷いながら、口を開いた。


「編集長って……お金持ち、なんですか?」

私の少しバカっぽい質問に、編集長は眉をひそめる。


「は?」

「だって……」


ベンツだし、こんな高級な老舗で奢るとか言っちゃうし。

モゴモゴと口を動かしている私を余所に、編集長は少し考えるそぶりを見せて。



「……まあ、昔は真面目だったからな。ある程度蓄えがあるんだよ」


「そう、なんですか」


昔って……まだ二十代間際のはずなのに。

そう考えつつも、頷いた。



< 25 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop