豹変上司に初恋中。
「呉羽」
「え!? は、はい!」
いきなり名前を呼ばれて背筋を伸ばして返事をする。
いつもは「さん」付けだから……なんか違和感。
「お前、この格好の時は編集長とか呼ぶな」
「え? あ……」
そっか。内緒にしてるんだもんね。
「すいません。気をつけます」
「ああ、頼む」
編集長は、頷いた後で顔を思い切りしかめて呟く。
「ばれたら厄介だからな、とくに七瀬」
…………ああ。
梓には申し訳ないけど、納得してしまう。
情報通だから、そういうの大好きだろうし。
何より、今の編集長……絶対梓のタイプだ。