豹変上司に初恋中。
「変な女」
―――
次の日、発売日も近いだけに編集部は相変わらずの忙しさ。
「七瀬さーん」
そんな中で優しく、のんびりとした声が聞こえてきて。
「はい! できましたぁ」
梓が嬉しそうに完成した原稿を持って、私のデスクの前を通り過ぎた。
ちら、と見遣ると編集長は受け取った原稿を真剣に眺めている。
「……」
相変わらず分厚い眼鏡で目は全然見えない……けど。
やっぱり雰囲気から話し方まで違うよね。
「うん、冒頭辺りは良い感じだけど…誤字が幾つかあるみたいから、もう1度だけ確認してきて?」
「はーい」
うーん。