豹変上司に初恋中。
「その、それより、笹本さんは、大丈夫なんですか」
「はあ?」
しゃくりあげながら尋ねると、怪訝そうに聞き返される。
「だって、格好……っ、ば、ばれたら」
「格好、て……」
すぐ近くで、ため息をつくのが聞こえた。
「お前馬鹿か。そんなもん、どうでもいい」
「でも、」
「良いんだよ。あいつ警備員らしいから、編集部とは接点ない。即、解雇決定だし」
宥めるように頭を撫でてくれて。
それが凄く優しい手つきで、私はようやく落ち着いてきた。
「……」
身を委ねていると、編集長が立ち上がる。
「ほら、帰るぞ。送るから」
「え?」