豹変上司に初恋中。
前に「アイツら」とか言っちゃってたもんなぁ……
「編集長は、一人に絞ったりはしないんですか?」
何気なく聞いてみると、編集長はコーヒーを手にとりながら口を開いた。
「さあ。俺の条件に該当するやつがそん中にいれば絞るかもな」
「……そうですか」
「そん中」に私は勿論いない。
ちり、と胸が焼けるように痛む。
聞かなきゃ良かった。
俯いて落ち込む私に、編集長は少し眉をひそめた。
「……おい、お前今日、本気でおかしいぞ。大丈夫か」
「え?」
「熱あるんじゃないか?」
「い、いえ!大丈夫です。私、戻ります。ごちそうさまでした」
顔をじっと見つめられて、私は慌ててお辞儀して、逃げるようにその場を後にした。
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