豹変上司に初恋中。
私の方は、編集長が眼鏡を外したままのせいか、更に緊張が増してしまって。
「うん」
固まっていると、編集長がいきなり頷いてポン、と手を私の頭に乗せた。
「!?」
「こっちのが呉羽っぽい」
「!!」
何、それ。
「……っ」
やば…っ
私は咄嗟に俯いて、ほてった顔を隠す。
「さて、戻るか。あ、呉羽もう応募ハガキがいくつか届いてたから目通しとけよ」
「は、はい」
言うや否や、編集長は眼鏡をかけて、髪をくしゃっとさせてから休憩室を出ていく。
……無自覚って、罪だ。
私は真っ赤になった顔を押さえながら、必死で熱を冷ますのだった。