豹変上司に初恋中。
「とりあえず今から行く料亭にコネがあるから、ちょっとレシピ特集に協力してもらおうと思う」
……つまり。
これも仕事のうち、なのかな。
分かってはいたけど、少し落胆してしまう。
「分かりました。でも、どうして私を?」
「ん? 呉羽はこっちの姿知ってるしな」
「……成る程」
そりゃそっか。
そっちのが都合良いよね。
二度目の溜息を飲み込んだ時、車が滑らかに止まった。
「ん、着いた」
「はい」
そして私は、二度目の料亭に足を踏み入れるのだった。
――